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映画の仕事生きがい キネマ館職員

2016年5月25日掲載

4月から宮崎キネマ館で働く山口匡一さん。パーキンソン症候群と付き合いながら仕事に情熱を燃やす=宮崎市・宮崎キネマ館

 宮崎市の映画館・宮崎キネマ館で映写を担当する山口匡一(きょういち)さん(58)は、約10年前にパーキンソン症候群を発症。周囲の理解を得ながら仕事に打ち込んでいる。体が思うように動かないこともあるが、「仕事は生きがい。職場に立つことで、お客さんにも病気についての理解が広まるといい」と前向きに日々を過ごす。

 難病に指定されるパーキンソン病は、千人に一人が発症するとされ、厚生労働省によると国内の患者数は約14万5千人。三大症状として「手足の震え(振動)」「動作が鈍くなる(無動)」「関節の硬化」がある。パーキンソンでも症状の程度で「症候群」か「病」に診断が分かれる。

 調子が悪いと、シャツ1枚着替えるのに5分以上かかることもある。「出勤前のボタン一つが大きなハードル」と山口さん。けいれんを抑える薬など、1日4回に分けて3種類を服用。タイミングや飲み方を工夫していても症状が出ることはあるという。

 国立病院機構宮崎東病院(同市)の塩屋敬一副院長=神経内科=は「神経の機能がうまく調節できなくなる病気で個人差が大きい。完治の方法はまだないが、生活の質を保って付き合うことはできる」と説明する。

 同市出身の山口さんは約30年前に市内の映画館で働き始めたのを皮切りに、長年映写の仕事に関わってきた。約10年前、延岡市内の映画館で勤務中、体が突然動かなくなり、「症候群」と分かった。「パーキンソン病の親類を見てきたためか、不思議と現実を受け止められた」と話す。

 宮崎市のみやざきアートセンターが2009年にオープンすると、指定管理者のNPO法人・宮崎文化本舗の職員としてイベント設営などに従事。1年ほど前から体力の衰えを感じたため、同法人が運営し、力仕事の少ない宮崎キネマ館へ今年4月に異動した。

 同館の青松俊哉支配人(43)は「周りのスタッフに負担がないと言うとうそになる。しかし、病気に負けず働く意欲、精神的な強さは映画館として活力になる」と期待する。

 振動や無動の症状がある山口さんは「症状が進行するのは不安だが、今はお客さんに早く顔を覚えてもらいたい気持ちでいっぱい。大好きな映画の面白さを伝えていく」と意気込んでいる。