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南宮崎駅舎内食堂「ライオン」 40年続く歩み幕引きへ

2022年4月27日
 宮崎市のJR南宮崎駅舎内で唯一の食堂「ライオン」を約40年経営してきた中西幸一郎(78)、米子(80)さん夫婦は高齢を理由に引退を決意し、事業承継者を探している。現在の店舗を使ってもらうのが希望で、中西さんは「やる気があり、飲食業をしてくれさえすればいい。駅利用者のためにも店舗がつながってほしい」と話している。

 店を構えたのは1980年ごろで、修業した東京のレストランチェーン店にちなんで名付けた。以前は旧国鉄の日本食堂宮崎営業所でコックをして、食堂車にも乗り込み腕を磨いた中西さん。「電車に乗り込むまでの10、20分で提供する。時間の感覚は他のコックとは違う」と駅舎内の店主としての誇りを大切にしてきた。

 新型コロナウイルス禍以前は、午前7時から客がいなくなる午後9時ごろまで店を開け続けたことも。ただ体力的にも年々つらくなり、「動けるうちに自由な時間がほしい」という米子さんの思いも踏まえ、閉店を決断した。

 店の看板やメニュー表、小物など、常連客が厚意で贈ったものに囲まれる店内。中西さんは二人三脚で歩んできた思い出を振り返り「人が集う場所で、腕を振るうのはやりがいのある毎日だった」と目を細める。

 事業承継者が希望すれば、名物のチャンポンやチキン南蛮の調理法の伝授も考えている。5月末まで事業承継マッチングサイト「relay(リレイ)」で店舗の紹介記事などを掲載し、承継者を募集している。後継者が決まり次第、JR宮崎シティと賃貸借契約を結ぶ予定。

【写真】40年の歴史に幕を閉じ、事業承継を目指している食堂「ライオン」の中西幸一郎(左)、米子さん夫婦

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