日南市の風田・平山海岸で24日、県指定天然記念物・アカウミガメの今季初となる上陸と産卵が確認された。市は県などの「原則自然のままで」との方針を受け、2021年から卵の移し替えをやめているが、産卵場所が川の脇で卵が真水に漬かっており、流される恐れもあると判断。緊急措置として安全と思われる場所へ「移植」した。
市では20年まで近くのふ化場に移して保護していた。しかし、宮崎野生動物研究会が卵のふ化率や稚ガメの磁場感知能力の低下など生態への影響が出ることなど学術研究を報告。市のふ化場は稚ガメが自力で海へ帰ることができない構造になっていることも指摘されたことから、移植をやめていた。
この日は午前6時ごろ、毎朝巡視している市の保護監視員が波打ち際から25メートルほど離れた場所で産卵しているのを発見。一報を受けた市職員2人が現場を確認すると、近くを流れる風田川のそばで産み落とされ、一部は水に漬かってる状態だった。このため、市職員は県や専門家の確認を取った上で、監視員が110個ほどの卵を取り出し、波の影響を受けない場所へ埋め戻した。
平原英樹・市文化財係長は「原則現状維持というスタンスは変えない。データを集めながら、どういった形での保護がいいのか、在り方を考えていきたい」と話している。
【写真】アカウミガメの産卵場所で砂浜から卵を取り出す保護監視員