高齢化が進む稲作農家の省力化を図ろうと、小型無人機ドローンを使って田んぼに直接種もみをまく実証実験が25日、五ケ瀬町で始まった。20日~1カ月かかる苗作りの工程を省き、田植えの負担を減らすことで作業時間の短縮や人手不足の解消につなげたい考え。
スマート農業の普及支援を手掛けるタスクル(熊本県山都町)が実施。同社の佐伯貴知社長(35)は五ケ瀬町出身で、耕作放棄地の増加に歯止めをかけたい狙いがある。
同日は鞍岡地区と坂本地区の水田2カ所計30アールに食用米と飼料米の種もみ計6・5キロを直まき。機械による田植えは通常、「10アール当たり30、40分かかる」(同社)というが、ドローンによる作業は数分で終了。通常の種もみと、水に沈みやすく鳥に食べられるのを防ぐため、鉄をコーティングしたものをまいており、今後、比較しながら生育状況を調査。実用化を目指す。
鞍岡地区の水田を提供した森本富喜男さん(85)は「あっという間に作業が終わり驚いた。年齢的に米作りをやめようかと思っていたが、これでうまくいけば続けられる」と期待。
佐伯社長は「西臼杵では(苗を購入せず、自分で育てる)自家育苗が多く、山間部での直まきは省力化と低コスト化につながる。この実験は五ケ瀬の10年後を見据えた挑戦」と笑顔で話した。
【写真】ドローンを使って種もみを直まきする実験