日南市の南郷三組合共同漁業権管理委員会(委員長・元浦亮(まこと)南郷漁協組合長)は20日、持続可能なイセエビ漁を目指し、5月中旬に南郷町海域の禁漁区内に設置していた人工海藻を引き上げた。約50匹の稚エビが付着しており、海域で自然増殖させて資源確保につなげようと、近くの岩場に放流した。
人工海藻は「イセエビコレクター」と呼ばれ、人工芝のようなビニール繊維で覆われている。卵からふ化後、海中を漂う稚エビが付着してすみつく習性を利用している。
引き上げ作業には漁協関係者4人が当たった。ダイバーが水深約12メートルの位置に固定したコレクターを取り外し、船に上げた。船上で作業員がコレクターを手でかき分けたり、ゆすったりして3~5センチほどに成育した稚エビを1匹ずつ回収。別の岩場に移動し、全て放流した。稚エビは周辺にすみつき、成長していくという。
今回4基設置していたが、2基しか回収できなかった。残り2基は何者かが故意に外したとみられ、見つからなかった。
昨季は豊漁だったという。南郷漁協の杉本真大総務課長は「因果関係は分からないが、一定の効果があると信じて続けている」と話していた。
【写真】引き上げたイセエビコレクターに付着したエビを回収する関係者