絶滅危惧種のニホンウナギが成育できる環境づくりに役立てるため、日南広渡川漁協(戸田博組合長)が日南市の広渡川にすみかとして設置した「石倉カゴ」のモニタリング調査は13日、同市益安の益安橋下であった。カゴを引き上げ、中にいるウナギなどの数や大きさを記録した。
石倉カゴは1メートル四方、深さ50センチの網に石を詰めており、水生生物の隠れがとなる。2017年に同漁協が水産庁の補助を受け10基を設置。ウナギが産卵に向けて川を下る時季に個体数などを、九州大と共同で調査している。
同日は九州大大学院の望岡典隆特任教授(水産増殖学)と戸田組合長ら15人が参加。1基ずつ重機で上げてニホンウナギの個体数を調査。うち3基は石を取り出し、エビやカニなど全ての水生生物を調べた。
ニホンウナギは5匹が見つかり、個体を識別するICタグを腹部に埋め込み、再び川に放した。望岡特任教授は「石倉の中はウナギの栄養状態が良く、鳥類の捕食も減り、生き残りやすい。今回は再捕獲した1個体もおり、実りの多い調査となった」と話した。
【写真】川に設置した石倉カゴを引き上げ、水生生物を調査する日南広渡川漁協の組合員ら