宮崎県串間市北方の高野山真言宗・極楽寺(德永純康住職)は、節分の時季に厄よけを祈る行事「星まつり節分会(せつぶんえ)」に使用する鬼の面を、高千穂町岩戸の神楽面工房「天岩戸木彫」に依頼して新たに作った。1月31日に同寺で奉納式があり、德永住職(63)は「立派な物を作っていただきありがたい」と感謝していた。
創建約900年の同寺の主要な年中行事の一つだが、鬼に豆を投げて追い払う「鬼追い式」で鬼役がかぶる面が残っておらず、長年市販品で代用していた。「地域の伝統行事として後世に残すため、立派な面が必要」と考えた德永住職らは、昨年夏に同工房に依頼した。
工房の工藤浩章代表(61)は「節分の鬼の面を作るのは初めて」と驚きながらも快諾。今年1月に約20日かけて、縦26センチの赤鬼と青鬼の面2枚を作った。キリ製で軽いため着用しやすく、仏像などの材質に合わせて神楽面のような表面のつやは消した。
奉納式には檀家(だんか)や地域住民15人が集まり、お経を読み上げるなど法要を実施。德永住職は「立派な出来栄えでありがたい。大切に使う」、工藤代表は「高千穂の神楽面は角を付けないので難しかったが、喜んでもらえて良かった」と話していた。
今年の星まつり節分会は5日に開き、面を初めて使用する。縁起物「福豆」の無料配布もある。
【写真】星まつり節分会で使う鬼の面を新調した極楽寺の德永純康住職(左)と、製作した工藤浩章代表(中央)