1日付で尾鷲海上保安部(三重県)から着任。前任は巡視船「すずか」船長。34年目を迎える海上保安官生活の大半は巡視船乗務だ。「チームワークの勝負。それぞれに役割があり、コミュニケーションを取り連携することが大切」。地上勤務でも持論は変わらない。
海岸線約400キロ、海域面積約2万平方キロを守る責任者。「まずは南海トラフ巨大地震対策、さらに船舶同士の海難、海のレジャーでの事故防止と、やるべきことは多い。いずれも、海保だけではなく関係機関とさらに緊密な連携を築いていきたい」と抱負。
2011年から2年間は石垣海上保安部(沖縄県)で、巡視船「いしがき」船長。尖閣諸島周辺で中国漁船が海保の巡視船に衝突した事件の直後で、12年には日本の尖閣諸島国有化に抗議する中国船が押し寄せた。「20メートルほどの距離で並走することも。相手の顔色まで分かる。根比べです」。乗組員の安全を最優先に重要な判断を迫られる厳しい任務だった。
出身は川南町。親の勧めもあり、高鍋高から海上保安大学校(広島県)へ。1982(昭和57)年、秋田海上保安部(秋田県)で「海の男」のスタートを切った。第十管区勤務は初めて。地元の海の安全を守る立場に、あらためて気を引き締める。油津港について「自然の地形で荒天にも強い良港。大型クルーズ船も入港できるなどポテンシャルは高い」。
同郷の妻(52)と2人での日南暮らし。「おいしいものを食べ歩くのが楽しみ」。二等海上保安監。55歳。
(日南支社・斉藤真広)