県庁生活総仕上げの年に、筆頭部の総合政策部長に就いた。「気負いはないが無難にまとめるつもりもない。全力で走る」。名刺を2千枚は配ったという、直前2年間の商工観光労働部長時代の経験や人脈も生かすつもりだ。
総合政策部は地方創生の中心を担う。「地方創生は勝負の年。人口減少をいかに食い止めるか。地方版総合戦略の策定など、全国が同時に取り組むので知恵比べになる」と気を引き締める。
整いつつある交通インフラの活用を鍵と捉える。「東九州自動車道整備や国際定期便増設、大型クルーズ船誘致などを、今後いかに生かしていくか」。一方で「人口減少で電車やバスなどローカル交通は厳しい。基盤となる県民の足の確保も課題」と目配りも。
東京大卒。東京で就職するつもりで、民間企業の内定も受けていた。Uターンのきっかけは父親が何も言わず送ってきた県庁の願書。将来を自分に問い直した。「もともと、満員電車もごみごみした環境も好きじゃなかった。途中で帰るのは難しい。ならば今帰ろうと決めた」。同じクラスの約50人のうち、Uターンは1人だったという。
穏やかと評されることも多いが、「本当は短気でせっかち。上に立つ立場になってからは切れそうになっても抑えている」とあっさり。
延岡市出身で、宮崎市内で妻(56)と2人暮らし。最近は日向市に住む1歳2カ月の孫娘に夢中だ。「1カ月に1回は会う。それをニンジンにして走っている。孫がここまでかわいいとは」と目を細める。59歳。
(報道部・足立希)