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宮日王位戦で5連覇を達成した 寺原 達(てらはら・いたる)さん

2015年4月27日
 若手の躍進が著しい本県将棋界を象徴するかのように、県内最高棋戦の一つである宮日王位戦で5連覇を達成した。「家族や同僚、友人からの期待が大きくプレッシャーを感じていたが、だからこそ勝ちたかった」と、今期にはこれまでにない緊張感を持って臨んだ。

 就学前に祖父から将棋を学び、一時は日本将棋連盟のプロ養成機関である関西奨励会に所属。退会後に大学を卒業し、2010年に帰郷、就職した。同年7月の全日本アマ将棋名人戦県大会では初出場で優勝し、勢いそのままに11年の宮日王位戦を制した。3番勝負の王位決定戦は今回を含め12局経験し、そのうち2回しか負けていない。

 今回王位の座を懸けて争ったのは、高校の後輩で昨年県名人を就位した松山和暉五段(17)=宮崎大宮高2年。「ここ数年で急成長を遂げている」と警戒し、第2局は事前に考えた作戦として中飛車を採用した。中盤まではペースをつかんでいたものの、松山五段にミスを突かれて惜敗。わずかな時間で気持ちを切り替え、得意の対抗形となった第3局。ねじりあいの将棋を、見事に力で押さえ込んだ。

 過去に同棋戦で5連覇を果たしたのは、黒木正剛と大迫健の2人。県内の将棋愛好者ならその名を知らぬ者はいない強豪と、今後は肩を並べることになる。前人未到の7連覇を目標に掲げる一方、「将棋は本当に楽しい。今後はお二人のように、後輩の育成にも力を入れたい」と、将棋文化の発展と継承も見据えている。宮崎市の実家で家族4人と暮らす。27歳。

 
(文化部・成田和実)

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