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県立宮崎病院長に就任した 菊池 池郁夫(きくち・いくお)さん

2015年5月6日
 副院長から昇格し、本県を代表する中核病院のトップに就いた。「がん診療や救命救急、先進医療などの高度医療を提供し、『さすが県病院』と言われる病院を目指したい」と抱負を語る。

 医師は正規スタッフだけで100人、診療科は24にも上る。「複数の診療科があるからこそ、できることも多い。例えば多発外傷など重症患者やHIV(エイズウイルス)診療など。各科の垣根を越えて協力し、ここにしかできないことをしたい」。「チーム医療」をモットーに掲げる。

 旧西郷村(現・美郷町)出身。病院や医師が少ない中山間地に育ち「子どもながらに地域医療の大切さを痛感した」のが医師を志した原点だ。九州大医学部を卒業後、研修医を経て、ハンセン病の免疫やアルコールを分解する酵素の研究に計9年間従事。1988(昭和63)年に県立宮崎病院に内科医として赴任した。「研究は答えがなく先が見えない分、精神的にきつかったが、論文の読み方を勉強でき、その後の臨床で難しい症例に遭遇した際に役立った」 柔和な笑顔と穏やかな物腰が印象的。患者には優しく寄り添う姿勢を大切にしてきた。「患者さんに『ありがとう』と言われると、どんなきつさも吹っ飛ぶ。次への原動力にもなる。医者冥利(みょうり)に尽きる」と医師のやりがいを語りだすと、熱い。

 妻と長女はともに内科医で次女も医大生という医師一家。「娘に医師を勧めたことはないが、内科医になった時は自分の仕事を肯定されたようでうれしかった」。宮崎市中西町在住。62歳。(報道部・岩切康一朗)

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