受刑者約360人を収容する宮崎刑務所。刑務官のトップとして就任して1カ月たち「受刑者の更生と社会復帰を促すため、就労、矯正教育を重点的に努めたい」と前を見据える。
東京都出身で刑務官だったおじを見習い、1985(昭和60)年に初任地の府中刑務所で看守を務めた。その後、法務大臣官房施設課や広島刑務所総務部長などを歴任。宮崎刑務所では「一人の人間として受刑者と付き合い、彼らが抱える負の面を解消した上で出所してもらい、まっとうな将来を進んでほしい」と思いを込め、「受刑者の心の在り方は十人十色。個人の性格や特性にあった指導を見いだしていきたい」と決意を語る。
全国的に問題になっている高齢受刑者の増加について「出所しても家族と縁が切れ、住む場所や仕事がなく、金銭に困って盗みなどを重ねていくケースが多い」と分析。「県内外の福祉施設と連携して、まず住む場所を確保し、就職口を探すなどの就労支援にも力を入れたい」と話す。
職員への目配りも忘れない。「仕事やプライベートで悩みを抱えていないか普段から職員とのコミュニケーションを図り、カバーし合えるような職場を目指す」 宮崎での勤務は初めて。「気候、県民性も温かで穏やかというイメージ。出会った人は柔和で心の底から優しい人が多い。緑豊かでのどかな土地柄も気に入った」と笑顔を見せる。
趣味は海釣り。「さおを垂らしている間は無の心境で、リフレッシュできるのが魅力」。55歳。(報道部・高橋良太)