職員時代とは明らかに仕事の質が変わったと感じている。「市全体を見つめる視野の広さが欠かせない。責任の重さを日々実感している」。冗談が絶えない明るい性格が魅力だが、市政運営を語る表情は厳しい。
えびの市出身で、1978(昭和53)年に市役所入り。総務課長だった昨年度、村岡隆明市長から「長年の行政経験を生かしてほしい」と就任の打診を受けた。37年間の職員時代には故松形良正元市長の秘書や議会事務局長、学校教育課長も歴任しており「市長や議長、教育長といったトップに立つ人間が、最終的にどう決断するかという場面を幾度も見てきた」。県地方課(現市町村課)への出向経験もあり「人脈や経験を生かし、市長を全力でサポートしたい」と意気込む。
市政運営最大の課題は人口減対策。「リスクを減らす努力を重ねながら、一歩踏み出すアクションを起こしたい」。現在計画中の工業団地造成事業や移住、子育て支援などの政策を中心に「市民が『住んでいて良かった』と思える街づくり」を目指している。
「自治体間競争での勝ち残りは職員のアイデアに懸かっている」と人材の活用も重視。4月の就任式では「市役所はえびの最大のシンクタンク」と語り、職員の育成や意見を引き出す環境づくりにも力を尽くす考えだ。
近所の川内川でコイを狙って釣り糸をたれるのが息抜きの一つ。稲穂が実る10月ごろに最も釣果が上がるらしく「毎年楽しみにしている」。同市小田で妻、長女と3人暮らし。59歳。(えびの支局長・久保真一朗)