過去に3連覇を果たした元女王が、9年ぶりに県内女性アマの頂点に復位した。九州工業大大学院時代の5年間は研究に没頭し、将棋から遠ざかっていたため「久しぶりの舞台で緊張した」と対局後に表情を緩めた。
対戦相手で3連覇していた下田郁さん(27)とは同じ年で、旧佐土原町の将棋教室へ小学校時代から共に通った仲間。「かおるちゃん」「みのぶちゃん」と呼び合い、良きライバルとして腕を競った。両者は高校生だった第3、4期の宮日女流王位戦でも決定戦で対戦。手の内は知り尽くしているため、今対局前に「互いに攻撃的。“殴り合い”の将棋になる」と気を引き締めて臨んだ。
いざ盤を前にすると「ブランクのせいか、殴り合うのが怖くなった」。勝つことはできたものの盤面が見えていない悪手が目立った。「満足できない。もう一度勉強し、棋力を戻さなくては」と自らを律する。
今年に入り、県出身のプロ棋士が相次いで誕生した。一方で女性の将棋愛好家は少ないため、下田さんと将棋のイベントも企画。「子どもの頃は教室に通っていても、進学や就職を機にやめる人が多い。女性が浴衣姿で参加できる大会など、将棋が面白いと思える場をつくりたい」と、普及にも力を入れるつもりだ。
4月から宮崎大で研究員として働く。大学院時代が「有機太陽電池」、現在は「プラズマ」に関係する研究を行う。研究室のテーマである「海洋教育」の研究にも携わり多忙な日々。宮崎市佐土原町の実家で両親ら家族5人暮らし。27歳。