その手に抱き、育むはずだったわが子を失うとはどういうことなのか。周囲はどんな支援ができるのか-。宮崎市保健所で12月7日に開く第7回東アジアグリーフケアセミナーは、赤ちゃんを亡くした親へのケアの在り方を考える機会になる。
同市のわかば小児歯科院長。北九州市の小児歯科医が、口唇口蓋(こうがい)裂の重度合併症などで子どもを亡くした親らを支えようと、同セミナーを始めたのに刺激を受けて第2回から毎年参加している。「親たちが医療者の対応、言葉一つで傷ついたり、逆に励まされたりしていることを知った。自分の診療を見つめ直す、学びの場にもなっている」と話す。
身近な人と死別した悲嘆を癒やす「グリーフケア」は県内でも始まっており、家族や友人を亡くした人が語り合う場「あすへのカフェ・みやざき」にも参加して声を聞いてきた。「誰しも抱える寂しさやつらさに加え、赤ちゃんを亡くした親には『健康に産んであげられなかった』と自分を責める傾向が強い」 仙台市であった前々回の開催後に「再来年は宮崎で」と声が掛かり、流産、死産、新生児死の経験者でつくる「宮崎天使ママの会」や医療者で実行委員会を発足。準備をしながらもそれぞれの思いを知り、「親と医療者が同じ方向を見て歩いて行けるきっかけにしたい」との願いを強めている。
日南市南郷町出身。趣味を尋ねると「夏はトライアスロン、冬は合唱」。12月中旬から川南町で開かれるモーツァルト音楽祭に向け「猛練習中」と意気込む。57歳。(文化部次長・中川美香)