相手との間合いを見極め、一瞬の隙を見逃さずに鮮やかな突きを決めた。「勝負どころで自然と体が動いた。大将の役割を果たせてほっとした」
昨年11月に開催された九州管区内の8県警が集う剣道大会。本県と福岡県による全勝対決の大将戦を制し、本県を2年ぶり10回目の優勝に導いた。
鹿児島県志布志市出身。小中高と剣道に打ち込み、進学した鹿屋体育大(鹿児島県)に練習試合に来た県警の師範に誘われ、警察官の道へ進んだ。
拝命後は警備部機動隊に所属し、剣道チームのメンバーとして稽古に励んできた。「剣道の道は人間形成の道。体力と気力を養い、県民の期待と信頼に応えたい」。勝つためではなく、精神力を磨き、県民の安全を守ることが使命と肝に銘じる。
機動隊は、大規模災害対応や治安警備などの職務に当たる「最後のとりで」といわれる。数日にわたって続くこともある行方不明者の捜索などでは、剣道で培った精神力が生きてくるという。
主将を引き継いで2年目。実績のある選手が多く、プレッシャーは大きかったが、チームの雰囲気に助けられた。「気さくな人が多く、チームワークが良い。稽古を通じて互いに高め合える」。勤務後は剣道少年に、基本技術や礼儀作法を教えている。
心身共に鍛えられる仕事だが、「休日に家族と過ごす何げない時間が幸せ」。家族の支えと、試合会場まで足を運んでくれる警察OBらの声援が力になっている。宮崎市で妻と長女、長男との4人暮らし。33歳。