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県高校選抜剣道大会男子で8年ぶりに優勝した日章学園高監督 甲斐修二(かい・しゅうじ)さん

2020年1月27日
 「”剣風”が確立してきた」。決勝で強豪・高千穂高に競り勝った教え子たちをねぎらうと、それまでの厳しい表情から、思わず目尻が下がった。

 延岡市出身。中学2年で竹刀を握り、父の故・富嘉(とみよし)さんが開いた道場「延岡修道館」で技を磨いた。延岡工高では3年時の全国総体個人戦ベスト16が最高。国士舘大に進んだが、4年間団体戦メンバーに入れず悔しさを味わった。

 卒業後の1978(昭和53)年、高輪高(東京)教員として指導者の道が始まる。実績もなく「防具を持って都内中の道場を回った」と、選手集めから奔走。それでも「和紙を一枚一枚重ねていくような地道な作業で強くなる」。構えなど基本に忠実な「正統派の剣風」を掲げ、生徒一人一人とじっくり竹刀を交えて力を付けさせた。

 86(同61)年に初めて都大会団体戦を制し、全国高校総体出場。その11年後に悲願の日本一に輝いた。2000、04年も頂点に立つなど常勝校に育て上げ、16年3月に退職。ちょうどその頃、日章学園高から監督就任の要請を受け「もう一度日本一に」と、高い目標に再び挑むことを決めた。

 「上達に近道はない。正しい剣道をすることが一番」。練習中は妥協を許さず、私生活にも厳しい。そんな”甲斐イズム”は徐々に選手に浸透。緊迫した場面での勝負強さが増し、昨年の県高校総体では男子を13年ぶりの団体優勝に導いた。

 座右の銘は「継続は力なり」。東京の自宅に妻・育美さん(62)を残し、宮崎市で一人暮らし。保健体育科教諭。64歳。

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