昨年7月に県内を襲った大雨では、自宅近くの川で内水氾濫が発生。しかし、周辺の多くの住民は事前に浸水への準備を整えた。「行政の指示を待つようでは手遅れ。住民が能動的に動けば必ず減災につながる」。県防災士ネットワークのトップとして「自助」の重要性を訴える。
防災士を目指したきっかけは、本県に甚大な被害をもたらした2005年9月の台風14号。自宅がある都城市鷹尾1丁目の周辺は浸水被害に遭い「なぜ災害が起きるのか調べたくなった」。熱中しやすい性格も手伝い1年後、試験に合格。その後も会社勤めの傍ら河川氾濫の原因や堤防の構造、地震発生のメカニズムなどの専門書を読みあさった。
自宅がある地区では過去、台風などで被害が出るたびに住民が市の災害対応を非難することが多かったという。だが、資格を取得後は「住民自ら学び、動くべきだ」と呼び掛け、官民が参加する防災関連の会議では住民と行政の意見に耳を傾けるよう心掛けている。
南海トラフ巨大地震は近い将来、高い確率で起きるとされ、防災士の需要は高まる。県内の防災士は19年3月末で約4300人で、15年から1・8倍に増えた。「これからの防災士は、知識や技能を教育にも生かしていかないといけない」。昨年6月の理事長就任後は、地域、保護者、子どもの3者が連携した防災教育の推進を積極的に提言している。
退職後は少年サッカーチームのコーチ、都城の歴史や文化を継承する「都城島津を温(たず)ねる会」の会長として精力的に活動する。65歳。