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県の伝統工芸士に認定された 田村和也(たむら・かずや)さん

2020年2月16日
 ろくろ工芸に打ち込み40年以上。宮崎市大島町の障害福祉サービス事業所「向陽園」で、皿や弁当箱などの制作にあたる。県の伝統工芸士に認定され「長年続けてきたことが認められてうれしい」。

 幼少期に聴覚を失った。学校にも行かず家にいた17歳の頃、職員の勧めで施設に通うように。道具の扱いを徹底的に教え込まれた。元々手先が器用なこともあり、徐々に制作の中心的存在となった。

 鋼を打ったり削ったりして道具を自作。自在に使い分け、柔らかで温かみのある作品を生み出す。技術を見込まれ、注文は県外からも。一から作り方を考え、試作を繰り返す。「なかなかオッケーがもらえず大変だが、できあがった時はうれしい」

 仕事の正確さだけでなく、速さにも定評がある。先日も2カ月間の制作を想定していた注文の皿160枚を1カ月足らずで完成させ、職員を驚かせた。「注文がたくさんある方が燃える」と笑う。

 作品ごとに木の厚さや深さなどを記したノートには、きちょうめんな性格がにじむ。木工施設を見学したり、作品を見たりする時も、細かに観察してメモを取るなど、探究心は尽きない。

 認定を知った昔の職員から連絡や花をもらい、喜びと懐かしさに包まれた。「70歳までは頑張る」。長年酷使した肩を病院でケアしてもらいながら、作業台に向かう。

 プロ野球巨人のファンで、作業場に飾った選手のカレンダーに元気をもらっている。同市村角町で妻の良子さん(70)と2人暮らし。63歳。

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