西村功前監督の退任を受け、約7年間務めたコーチから2月1日付で昇格。平均年齢20・6歳と若いチームの指揮を任された。創部以来の目標である全日本実業団対抗女子駅伝出場を果たせず、「西村さんを支えきれなかった」と悔しさも。それを糧にしつつ「今は楽しみの方が大きい。応援され誇りに思ってもらい、目標とされる選手を育てたい」と力強く抱負を語る。
熊本県阿蘇市出身。中学から陸上を始め、熊本国府高から国学院大へ。2004年に卒業後、信太山自衛隊(大阪)を経て実業団のコマツ電子金属(現・SUMCO TECHXIV)入り。貧血や故障で苦しむことが多く「挫折ばかりの競技人生だった」と笑う。
ただ、苦境に立っても決して諦めなかった。初マラソンとなった06年の北海道マラソンで4位。座骨を痛め、その後1年以上かかったリハビリも地道にこなした。08年にコーチ兼任となって以降も、全日本実業団対抗駅伝に出場するなど、10年に現役を退くまで一線で活躍した。
選手には、あいさつや整理整頓など基本に立ち返り自分を律するよう呼び掛け、各自の目標をより細かく設定するなど意識改革から取り組む。月数回は寮で一緒に食事を取り、コミュニケーションを重視。「主従関係ではなく、一番の理解者でありたい。しつこいと思われるかもしれないが、しっかり関わっていく」と目を細める。
妻・光葉さん(33)や3人の娘と「家でまったり過ごす」ことや、最近道具を買って再開した釣りが息抜き。宮崎市吉村町。38歳。
【写真】佐伯尚彦さん