署員約300人を抱える県内最大の警察署トップに就任。「事件事故を起こさせない。いかに防ぐかに力を注ぎたい」。落ち着いた語り口にも「未然防止」への強い思いがにじむ。
串間市出身。法政大法学部を卒業後、1984(昭和59)年県警入り。25年以上警備畑を歩んだ。発生すれば大惨事を招くテロ対策などに従事する中で、被害の未然、拡大防止という警備警察の本質が体に染み付いた。
出向経験も豊富だ。警察庁外事課に7年間在籍。外務省では海外の在外公館に領事として勤務し、在留邦人の保護に奔走した。さまざまな経験を重ねて広い視野を養った。
日南署長や警備部長を歴任し、前職は交通部長。高齢者の事故を減らすため、夜間は運転を控えるなどのルールを自らに課す「制限運転」の浸透に力を注いだ。「地方は車がないと生活できない。免許を奪うのではなく、運転寿命を延ばす対策を考えるべき」と住民目線を重視する。
「人生の経験者、常識人として、最終判断を下すのが署長の務め」と自らの立ち位置を見定め、「署内にはその道のプロが大勢いる。具体的な手続きには口を出さない」と現場に信頼を置く。
署員の7割が40歳以下で、若手育成にも力を入れる考え。かつての自分がそうだったように、専科や語学など学習意欲が旺盛な署員には、その環境を与え後押しするつもりだ。
知的好奇心は旺盛で、「映画も音楽も好き。最近のお気に入りは『京アニ』作品」と笑みをこぼした。宮崎市在住。59歳。