32年の警察官人生のうち29年を殺人や放火、連続窃盗事件など強行犯の捜査にささげてきた。受賞は現場で培った手腕と功績が認められた。「共に頑張ってきた仲間たちの支えがあってこそ」。真っ先に仲間への感謝の言葉がこぼれた。
捜査1課や宮崎北署刑事1課、福岡県警への出向などを経験した”たたき上げ”だ。今春から一線署の刑事たちの指揮を執る。「捜査は1人では決してできない」と断言する。個人ではなく集団の力で事件に臨む重要性を説く。
捜査1課の特捜班時代、3カ月に及ぶ張り込みで強行犯を追い詰めた。今と違って防犯カメラも少なく、大勢での張り込みだった。真冬の冷え込みの中、仲間と体を動かして暖を取り、励まし合いながら犯人確保にたどり着いた。一致団結して知恵を出し合い、支え合う大切さが身にしみた。
信条は「どんな事件にも真剣に向き合う」。台風で孤立した地域の災害警備に携わった経験が胸に刻まれている。電話がつながらない状況で、取り残された住民と心配する家族とを無線でつないだ。「感謝の言葉が忘れられない。小さな出来事だったが『人の役に立ちたい』と警察官として働く原動力になっている」
部下は「仕事には厳しいが人には優しい。頼れるリーダー」と全幅の信頼を寄せる。
2人の娘は東京でそれぞれ就職、進学し、妻と宮崎市内の官舎に2人暮らし。愛車は娘のお下がりの「ママチャリ」。落語と漫画が趣味の人情派。「聞き込みでも役に立つんです」。小林市出身、55歳。