不動産登記や戸籍、人権といった国民の財産と権利を守る法務局。「明るく、楽しく、前向きに」がモットー。初の局長ポストにも気負いはなく、「積極的に行政課題に取り組み、県民の期待と信頼に応えたい」と自然体で語る。
大分市・大分鶴崎高卒業後の1982(昭和57)年、大分地方法務局に入局し、勤続39年目。両親の仕事の関係で、延岡市で生まれた。5歳ごろまでを過ごし「商店街や公園で遊んだ記憶がある。一度は生まれた土地で働いてみたかった」と初の本県勤務を喜ぶ。
登記部門の経験が豊富で、前任地の和歌山では、治安や景観悪化につながる所有者不明土地の解消に力を注いだ。災害の多い本県では、所有者不明土地は防災や災害復旧時に河川、道路などの用地買収の妨げとなると痛感。「南海トラフ巨大地震が発生する最悪の場合も想定し、不明土地の解消とともに、復興のための正確な地図作りも組織を挙げて取り組みたい」
母親や父親が、離婚などの事情で子どもの出生届を出さない無戸籍問題も課題。本県でも数人の無戸籍者がおり、市町村と連携しながら解消へ向け支援していく。子どもをいじめや虐待から守るため、今年も県内の小中学校に「子どもの人権SOSミニレター」を配布予定。職員や人権擁護委員が子どもに寄り添い、解決を目指す。
趣味は旅行と映画。「おんせん県」で育ったこともあり、大の温泉好き。小林やえびの市で温泉に入る日を楽しみにしている。大分市に妻を残し、宮崎市の官舎で単身赴任。56歳。(前田隆明)