昨年10月に諸塚村に帰郷し、父親で諸塚神社宮司の秀樹さん(60)と共に神事を執り行う。村の少子高齢化を切に感じているからこそ、「神社を核に、若い人がつながる場をつくりたい」と力を込める。
5人姉妹の四女。幼い頃から明確な将来の夢はなかったが「自分にしかできないことをやりたい」と胸に秘めていた。神職に就いたきっかけは、大学在学中に長女が結婚したこと。跡継ぎ候補が絞られる中で、「私がやってもいいのなら」と決意を固めた。
大学卒業後に上京し、国学院大神道学専攻科に1年間通って資格を取得。すぐに同神社の禰宜に就き、東京都文京区の小石川大神宮で神主の修業を積んだ。
帰郷してからは5年ぶりの奉納となった2月の諸塚神社の夜神楽「桂大神楽」の準備に追われた。母親の志麻さん(58)や村人約100人と一緒に麻糸を紡ぎ、舞い手の狩衣(かりぎぬ)を伝統の機織りで制作。秀樹さんから神事の手ほどきを受ける中で、村の伝統を守る使命感は胸に深く織り込まれていった。「覚えたいことはたくさんある。いつ後を託されてもいいよう、今のうちに多くを学びたい」
幼い頃に地元住民から掛けられた「『いつか、よりちゃんが継いでくれたらうれしい』の一言が活力になっている」と照れ笑いを浮かべる。4月から村教育委員会に勤務する。楽しみは日向市への買い物や食事。神事を執り行う姿は、神楽ファンたちの間で静かな評判となっている。祖父は林業立村の礎を築いた元村長の故重勝さん。同村七ツ山に両親と暮らす。27歳。