家庭内の防火のために生まれ、近年は地域防災も担う「女性防火クラブ」。県女性防火クラブ連絡協議会は県内13クラブ995人が団結して2月に誕生した。全国43番目で九州では最後。「県外の仲間に『宮崎も早く』と言われ続け、ようやく夢がかなった」 各クラブは「台所に燃えやすい物はないか」など日々の点検の大切さを説く啓発活動をはじめ、住宅用火災警報器を共同購入して設置を促すなどしてきた。消火器だけでなく自動体外式除細動器(AED)の講習、南海トラフ巨大地震に備えた炊き出し訓練、高齢者や障害者ら要援護者の見守りなど、求められる活動の幅は広がり続ける。
一方で会員の減少や高齢化の悩みも。「県協議会でクラブを超えた会員のつながりが強まり、全国の情報も共有できる」と言い、「消防団のように現場で動くのは難しいが、地域をよく知るからこそできることはある。楽しみながらやればいい」と気負いはない。
宮崎市清武町出身。市地域婦人会連絡協議会会長も務める。地域のための献身的な活動に加わるようになったきっかけは、結婚し1967(昭和42)年に移り住んだ同市熊野で「みんなと仲良くなりたかったから」。2年前、胃がんの手術で体重が10キロ落ち、第一線からの引退も考えた。周囲に「私たちが支えるから、いて」と強く慰留され、「今の私がいるのは仲間と家族の協力のおかげ」と感謝する。自らの防火クラブでは男性を準会員に引き込む柔軟さも持つ。大好きな編み物や民舞、花壇作りも楽しむ、多忙な75歳。
(報道部・堀口佳菜子)