家庭訪問などを通じて地域住民の相談に乗り、公的支援へのつなぎ役となる民生委員児童委員。全国民生委員児童委員連合会(約23万人)の副会長に3月、就いた。本県からは28年ぶりの大役に「身が引き締まる思いだ。後を絶たない児童虐待への対応など、国と協力しながら、解決に向けて力を尽くしたい」。
宮崎市出身。39歳のとき、民生委員児童委員だった父親の後を継ぐ形で、地域福祉の道に入った。2013年から、市協議会と県協議会の会長を務める。
同委員の活動は地域の高齢者の見守り、児童虐待、災害時の要援護者への声掛けなど、多岐にわたる。コロナ禍で3月から活動の要である家庭訪問の自粛が続くが、電話での安否確認や詐欺被害への注意呼び掛けなどを行っている。
約30年間の活動ではつらい経験もあった。1人暮らしの高齢男性宅で束になった朝刊を見つけた。警察官と訪ねると、男性は亡くなっていた。「何かできることがあったのではないか」と自問し「悲劇を少しでも減らしたい」と心に刻んだ。
本職はビジネスホテルの経営。週3回以上ある同委員や自治会関連の会議に出席する際は妻(70)や長男夫婦にホテルを任せ、資料作成のため休日返上でパソコンに向かう。趣味だったゴルフは10年ほどお預けのままだ。
孫は3~19歳の13人。「一堂に会する正月の宴会が一番の楽しみ。できればひ孫の顔まで見たい」と優しい祖父の顔を見せた。宮崎市瀬頭2丁目に妻と母(99)と3人暮らし。73歳。