6月から九州保健福祉大(延岡市)や同大総合医療専門学校(宮崎市)のほか岡山、兵庫県内の私立大と専門学校の経営を率いる。「(前任の)副理事長としての9年間と違う責任の重みを両肩に感じる」と心境を明かす。
重圧の訳は、厳しさを増す大学の経営環境だ。文部科学省の調査・推計では、日本の18歳人口は1966年の249万人をピークに現在は117万人。20年後には88万人にまで減る。「一発逆転はない。教育の質向上という根本的な取り組みを地道に進める」との信念は揺るがない。
九州保健福祉大は4月、社会福祉士を養成する臨床心理学部を新設。また、生命医科学部に人工心肺などの医療機器について学ぶ臨床工学技士コースも加わった。「時代の要請に応え、大学のブランド化を目指す」
岡山市出身。立教大経営学科から東京大大学院医学系研究科に進み、国際保健学を専攻。2005年に九州保健福祉大の副学長に就いて以降、学園本部がある同市から延岡市には多く足を運ぶ。「いつも温かく迎えてくれる」。地域貢献で取り組む大学公開講座は本年度が20回目。5年前から、生活困窮世帯の子どもの食事と学習も支援している。
新型コロナウイルスの影響で春の授業はオンライン方式に限定された。「学生には負担をかけたが、時間と場所に縛られない新たな教育の可能性が見えた。学園がワンチームで臨めば未来は明るい」との思いが強まった。岡山市内に妻と、今も都内の大学の授業をオンラインで受ける2人の息子と暮らす。47歳。