小林市生まれで「先祖代々農家」。県産農畜産物の販売・流通などを担う、JA宮崎経済連トップに就いた。歴代会長はJA職員出身が多い中、農家出身は珍しく「生産者と同じ目線を大切にしたい」と語る。
高齢化や担い手不足、新型コロナウイルス感染拡大など現場の課題ととことん向き合い、農家の所得向上や農業の魅力発信にまい進するつもりだ。
就任翌日に臨んだ全体朝礼では、職員に「失敗を恐れないで新しいことに挑戦してほしい」と求めた。親しみやすい人柄で積極的に職員とコミュニケーションを取り、若手でも意見を言いやすい職場環境づくりに汗を流す。
地元の高校から鹿児島経済大(現鹿児島国際大)に進み、卒業後に和牛繁殖や水稲を手掛ける実家で就農した。新たにメロン栽培に取り組み、現在はアールスメロンのほか、マンゴーを生産。「こだわりは見た目の美しさと糖度の高さ。消費者の『おいしい』の一言を聞くのが究極の喜び」と笑う。
2005年4月にJAこばやし理事、10年7月から組合長を務めた。糖度14度以上のアールスメロンを「めろめろメロン」として出荷する体制整備や、西諸地域の畜産振興に尽力。16年には春の褒章で黄綬褒章を受け、「1人では何もできない。人に恵まれてずっと支えられている」。
小林市の自宅に妻(63)と母(88)を残し、宮崎市内のアパートで慣れない1人暮らし。週末は自宅に戻り農作業を続けているが、平日は妻に任せきりになり、「感謝しかありません」。65歳。