開発途上国支援へ、半世紀にわたり本県から551人を送り出してきた国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊。出発から任期中の家族のケア、帰国後の就職相談まで、活動を下支えする「県青年海外協力隊を支援する会」3代目会長に7月、就任した。
自身も20~40代、協力隊員を皮切りに国連ボランティアやJICA派遣専門家として、ネパールとフィリピンで野菜栽培技術などの普及に心血を注いだ。中でもネパールでの綿花栽培は、ほぼゼロからのスタートで苦労も多かったが、「開墾や道路、排水路整備など専門以外でも何でもやった。その経験が帰国後の進路に生きた」。
発足から一度も派遣が途絶えたことがない協力隊の活動も、新型コロナウイルス禍が直撃。JICAは3月、安全確保のため全隊員の一時帰国を決めた。県内でも26人が待機し、今も再派遣の見通しは立たない。
隊員の中には、いったん退職して参加しているため、安定した収入がない人もいる。コロナ禍が長引く中、再赴任に備えるか、区切りを付けるか悩む後輩たち。「会長として、地元で社会貢献できる場の提供や、進路支援に取り組む。悔しい思いをしてきた彼らの希望を酌み、宮崎と海外をつないで活躍できるよう尽くしたい」
建設関連会社を退職後に立ち上げた宮崎市本郷南方の高齢者向け複合施設付き住宅に、ネパールで同じ協力隊員として出会った妻と2人で暮らす。今年4月から自治会長も務める多忙な日々の中、庭いじりがほっとするひととき。同市出身。71歳。