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みやにち夢ひろがる小品展で大賞に輝いた 近藤拓郎(こんどうたくろう)さん

2020年9月5日
 公募展での入賞は初めて。知人からの祝福の連絡で大賞受賞を知り驚いた。「師事する先生や応援してくれる周りの人たちが喜んでくれてうれしい」と控えめに語る。

 受賞作は、クジラのまなざしが印象的だ。制作のきっかけは、趣味の防波堤釣り。広い海を眺めていると、あらゆる物事を小さく感じた。「一番大きい生き物であるクジラでさえ、海の中ではちっぽけな存在。その不思議な感覚を絵にしたかった」。師の勧めで出品することにした。

 クジラの皮膚は何層も色を重ね、黄色っぽくも複雑な色合いに。一方でデフォルメした目は、あえて描き込まなかった。「単調だと思われないよう丁寧を心掛けた。実物とは異なる、不思議な印象を大切にしたかった」と狙いを打ち明ける。審査員は「目の奥で何かを考えている。見る人と対話できる感じがする」と評価。意図がしっかりと伝わり、最高賞を射止めた。

 小さい頃から絵を描くのは好きだったが、本格的に学び始めたのは社会人になってから。宮崎市の洋画家、山本祐嗣さんが主宰する絵画教室の門をたたき、油彩やアクリルにのめりこんだ。「年齢や職業が異なるさまざまな人から、いい刺激をもらっている」と充実の表情を浮かべる。

 普段は県職員として、宮崎家畜保健衛生所で飼料の検査に従事している。動物が好きで、ウシやライオン、カツオドリなどを描いてきた。「特定のモチーフやこだわりは決めていない。今後も描きたいものを素直に捉えていきたい」と自然体だ。同市で1人暮らし。33歳。

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