歴代受賞者には人気作家が名を連ね、読書愛好家の間ではすっかりなじみとなった「このミステリーがすごい!」大賞。型破りな女性弁護士を主人公に据えた小説「元彼の遺言状」で最高賞を射止めた。「周りが喜んでくれるのを見て、ようやくうれしさを実感している」と謙虚に語る。
父親の仕事の関係で、米南部テキサス州ダラス生まれ。生後半年ごろには宮崎市に移り、大宮小、宮崎大付属中に通った。ちょうどその頃、読書家の母親の影響で「ハリー・ポッター」「シャーロック・ホームズ」シリーズなどに夢中に。「宮崎は穏やか。刺激が少ない生活の中にいたからこそ、本の面白さを知った」。茨城県の高校に進学し、東京大法学部を卒業。現在は民間企業に所属する弁護士として働きながら、主に夜間に執筆活動を行っている。
創作のきっかけは原作タイトル「三つ前の彼」の通り、元交際相手が突然連絡してきたこと。「男性は不思議なことをするものだ」と感じて切り口にした。選考委員が高く評価した主人公像については「女性があこがれ、笑って元気になれる存在にしたかった」。背景には「女性がキャリアを切り開こうとすると、必要以上に苦労したり、心が折れそうな思いをしたりする。力強く活躍できる社会を願っている」という、自身の経験を踏まえた強い思いがある。
高校時代は囲碁部。プロ雀士としての活動歴もあり、興味は幅広い。両親や親戚が住む本県には年に2、3回帰省し、実家の愛猫4匹との時間が癒やし。夫と東京都内で暮らす。29歳。