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秋季九州高校野球県予選で優勝した宮崎商業高野球部監督 橋口光朗(はしぐち・みつろう)さん

2020年10月15日
 「自分の野球人生の中でこんな展開は経験がない。一人でも諦めていたら勝てなかった」。準決勝は九回2死から追い付き延長サヨナラ勝ち。決勝も6点差をひっくり返した。漫画のような劇的な勝ち上がりで、母校を半世紀ぶりの秋の頂点に導いた。

 32歳の青年監督の座右の銘は「凡事徹底」。高校時代の恩師・濵田登監督(現富島高)に教わった積み重ねの大切さを伝えようと、毎月、選手一人一人に個々の目標を立てさせる。小さなことから課題に取り組みクリアしていくことで自主性や自信が芽生え、試合での勝負強さにつながった。

 日向市出身で小学2年から野球を始めた。高校時代は目標の甲子園に届かなかったが、東洋大2年時の2008年、夏の甲子園に出場した母校の現地での”臨時コーチ”を務めた。聖地で聴いた勝利の校歌は格別だった。「いつか母校で監督を」。このときはまだ漠然とそう思っていた。

 転機は大学4年。監督から学生コーチを勧められた。悔しさはあったが「試合で活躍する選手の姿を見るとやりがいにもなった」。卒業後も大学職員として残り、2011年の全日本大学選手権優勝を支えた。

 「第2の夢」を追うため25歳で帰郷。14年に宮崎商高の講師に就き、野球部で副部長などを務め、教員となった18年に監督就任。今回、選手としてたどり着けなかった”センバツ”出場への挑戦権を得た。経験が少ない分、県内外の指導者から学んだ教えをかみ砕きながら準備を進める。「一戦ずつ勝ち上がり必ず甲子園に行く」。同高商業科教員。宮崎市内で1人暮らし。

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