これまで東南アジアでしか生息が確認されていなかった、甲虫コメツキダマシ科の一種「チャイロツツクビコメツキダマシ」を綾町の照葉樹林で採取した。国内初の発見で、日本甲虫学会の学会誌に掲載された。「これからも県内の昆虫を調査し、本県の豊かな自然環境を記録に残していきたい」と意気込む。
宮崎市出身。幼い頃から昆虫が大好きだった。小学1年時には自ら標本を作った。10年ほど前からは知人の依頼を受け、造園業を営む傍ら綾町の照葉樹林の生息調査に参加。2019年12月には、新種の甲虫「ヒメミスジホソカタムシ」を見つけた。
県内でこれまでに採取した甲虫は約1800種。コメツキダマシ科に限れば、県内に生息する37種全てを確認している。「今調査しないと地球温暖化など、環境変化による虫への影響が分からないままになってしまう」と危機感を募らせる。
虫を採取するこつは待ち構えること。草葉の少ない冬に山を巡り、虫のいそうなところをチェック。動きが活発になる夏に再び訪れ、罠(わな)を仕掛けたり、倒木をじっくり観察したりして捕まえる。「地球上の動物の約7割が昆虫。環境変化への適応力など生きるすべが詰まっているから、いくら見ていても飽きない」と、その魅力を語る。
今後の目標は、初見(しょけん)の虫を捕まえること。新種や珍しい昆虫に限らず「どこにでもいる虫でも、自分が見たことのない昆虫を捕まえるのが一番楽しい」と笑顔を見せる。宮崎市島之内に妻(68)と2人暮らし。68歳。