都城市高崎町で10月下旬にあった第62回県畜産共進会枝肉の部で、出品した「真秀(しんひで)」が肉牛のグランドチャンピオンに選ばれた。「肉質の良い牛がそろう中、一報を聞いた時は驚いたが、うれしかった」
同市高城町出身。幼い頃から父寅美さん(75)が自宅の牛舎で作業する姿を見て育ち、「牛は身近な存在だった」。高校3年時、父と同じ畜産の道に進もうと決心し、東海大農学部(熊本県)に進学。1995年の卒業後に就農した。
規模拡大を進め、2011年に法人化。和牛の繁殖から肥育まで手掛ける金政畜産の代表を務める。現在は自宅敷地内の牛舎と、同市山之口町の牧場で計約550頭を飼育。毎朝5時に起床し、パート従業員らと餌やりや清掃などを行う。1日2回の餌やりでは、牛の反すうをじっくり観察。「食欲が落ちると肉質や重量に影響するため、わずかな変化も見逃さない」
家畜人工授精師として自ら種付けを行い、真秀が生まれた。「子牛の頃から状態を把握しているのでスムーズに肥育に移行できる」のが一貫経営の強みとして、今後は繁殖用の母牛を増やす考えだ。
10年前、本県で発生した口蹄疫で一時収入が途絶えた。今年のコロナ禍では枝肉価格が下落。経営の厳しさを味わってきたが「手をかけた分だけ枝肉重量などの成績に表れ、収入につながる」とやりがいを語る。
自宅で妻と中高生の子ども3人、寅美さんら両親の7人暮らし。離れて暮らす長男(20)は、高鍋町の県立農業大学校に通う。毎日の晩酌が息抜き。48歳。