ホーム ひと

第31回宮日茶の間賞で特選に輝いた 黒木愛子(くろぎ・あいこ)さん

2020年12月9日
 日課のように用意し続けた黄緑色の細長い二段の弁当箱。高校生だった孫娘・鈴花(りんか)さん(19)のため、「どんなメニューにすれば喜ぶだろう」と考え、ご飯やおかずと一緒にたっぷりの愛情も詰め込む。特選を受賞した作品は高校卒業を迎え、そんな毎日が一区切りとなったエピソードをつづった。

 弁当作りを担当するようになったのは、鈴花さんが高校2年生の時から。「開けた時の笑顔を想像して作るのが楽しく、やりがいがあった」。いつもきれいに完食してくれることがうれしく、受賞作には「ありがとう」の気持ちもあふれる。鈴花さんも「学校が憂鬱(ゆううつ)なときも、お弁当があったから頑張れた」と感謝は尽きない。

 「思いを文章にして伝えるのが好き」と、孫や友達の記念日に手紙を書くことはしばしば。「茶の間」投稿も30代から始めた”ベテラン”だ。夫の叙允(のぶまさ)さんを早くに亡くし、多忙だった娘4人の子育て中は投稿から一時離れたが、60代から復帰。近年は孫との出来事で感じた喜びなどを表現する。新聞で最初に目を通すのは必ず「茶の間」といい、「みんなのエッセーを楽しみながら表現方法も学んでいる」と勉強熱心な一面ものぞかせる。

 最近は新たな日課に励む。81歳を迎えた9月の誕生日を機に、鈴花さんの提案で交換日記をスタート。ほぼ毎日、互いにうれしかった話や失敗談などをノートにつづり、既に2冊目に突入した。「書き続けられるか不安だったが、今では楽しみの一つ」。優しい笑顔で宝物の日記を見詰め、充実感を漂わせる。都農町川北。

このほかの記事

過去の記事(月別)