念願かない、国際協力機構(JICA)海外協力隊の数学教師としてこれまでパラオとマーシャル諸島で活動してきた。だが新型コロナウイルス感染拡大のため今年3月、マーシャル諸島から任期途中で帰国。68歳の今も派遣再開を心待ちにし、早朝の語学学習や研修に励む。
宮崎日大高で38年間、数学を教えた。定年後の人生を模索していたころ新聞でシニア隊員募集を知り応募。しかし、そこからが大変だった。足かけ4年、6回目でようやく手中にした。JICA関係者は「6回もの挑戦者はほかに聞いたことがない。レジェンド」と尊敬のまなざしを向ける。
派遣先では40度のデング熱に苦しみ、犬に2度脚をかまれるなどハプニング続きだった。「でもね、犬は番犬の役目をしっかり果たしただけでしょうね。あの人(犬)たちも生活がかかっていますから」と飄々(ひょうひょう)。
数学や勉強の面白さを伝えたい熱意も、現地の人には勉強する必要性などみじんもなく「日本からわざわざ来て大変ね、くらいなものでした」。でも、ここで諦めないのがレジェンド。「駄目なら次の手、と常に前向き。1割でも、理解してくれる人は確かにいた」。派遣前研修で送られた言葉、「困難を楽しめ」をかみしめたという。
定年後すぐの四国の歩きお遍路、マラソンの視覚障害者伴走、東日本大震災被災地の教師ボランティアなど果敢な定年後生活に妻千枝子さん(67)と娘4人は理解を示してくれる。昨秋、12回目の挑戦で英検準1級に合格した。次の目標は英検1級、百名山制覇だ。宮崎市佐土原町。