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「大切な命を守る」全国中学・高校生作文コンクールで最高賞に輝いた 山岡佳弘(やまおか・よしひろ)さん

2020年12月25日
 「言葉が見つからないときは黙ってそばに寄り添いたい」。娘を事件で亡くした県外男性の講話の感想をつづった作文で、応募作5271点から最高賞に選ばれた。無責任なうわさ話やインターネット上の誤った情報をうのみにした周囲の中傷で、被害者遺族が傷つけられている現状を知り、正しい情報を見極める大切さを訴えた。

 作文の文章は、被害者遺族が読むことを考慮し、「殺す」などの言葉を使わないこと、単語の意味は全て辞書で調べ、遺族の思いに適したものを選ぶことなどを意識。何度も書き直し、完成までに約1カ月を要した。最後は「間違った情報による中傷は遺族を傷つける。正しい情報を見極め、相手を尊重する気持ちを持つことが大事」と締めくくった。

 人権問題は、幼い頃から向き合ってきたテーマだ。小学1年の時、車いすの男性が新幹線から降りようとする際、「手伝いがいるだろうか」と思いながら、声を掛けられなかったことがあった。直後に、母親が「お手伝いすることはありますか?」と質問。男性は笑顔で「大丈夫です」と礼を述べて去った。

 その日の晩、自宅で母親に「心の中で『大丈夫かな』と思うだけで十分だよ」と慰められた。その経験をつづった「僕にもできること」で、初めて人権作文コンクールで優秀賞を受賞。以後毎年、人権をテーマに作文を書き続けている。

 国富町・八代中の2年生。「人の心に寄り添える医者になること」が将来の夢。「勉強は得意だけど好きじゃない」とはにかむ。13歳。

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