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デルフィニウムの新品種を育成した 本田由美子(ほんだ・ゆみこ)さん

2020年12月30日
 青色や紫色の可憐(かれん)な花を咲かせるデルフィニウム。県総合農業試験場の二つの新品種、珍しい淡いピンクの「ライラ」とラベンダー色の「プロキオン」の育成に携わった。「多くの人に親しまれる品種になってほしい」と笑顔を見せる。

 宮崎市出身。母がバラやガーベラを自宅で栽培し、自身が通う学校に贈っていた。その姿を見るうち、花や植物が好きになった。広島大生物生産学部を卒業後、「地元の農業を盛り上げるため、栽培技術の開発などの試験研究に携わりたい」と、2001年に県庁入り。同試験場では通算で10年以上、ラナンキュラスやキクなどの育成に関わってきた。

 新品種育成には時間がかかる。親となる花の選抜にライラは17年間、プロキオンは10年間を要した。3年前に先輩職員から引き継いだ際には重圧も感じたが、「同僚らと相談して交配などを試行錯誤した。世に出せて安心した」と振り返る。

 花卉(かき)農家の協力も欠かせない。検討会で栽培の課題などをくみ上げ、県外での消費動向調査も一緒に行う。茎が硬く取り扱いやすいというライラとプロキオンに共通する特徴は、農家や流通業者らのニーズも反映している。

 日照時間の長さを生かし、秋冬に出荷する本県産デルフィニウムは市場で好評という。コロナ禍で花の需要が落ち込んでいるが、「これからも宮崎の強みを生かした品種をつくりたい」。

 宮崎市で夫と子ども2人の4人暮らし。「休日は家族で近くの公園で遊んだり、サイクリングしたりして楽しむ」。42歳。

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