20代後半で長女、長男を出産し、仕事と育児に追われていた総務課文教係(当時)時代。子どもを保育園に預けて職場へ向かうと、いつも先に出勤していた女性の先輩職員が心をほぐしてくれた。「私たちは子育てが終わったから大丈夫。将来、あなたが同じ立場になったら県庁に恩返しを」。今春、総合政策部次長(県民生活担当)から会計管理者へ。女性として13年ぶりに部長級に登用された。
現金の出納や保管、公金支出に伴う審査の責任者となり、「地道な仕事だが県庁になくてはならない部署。公金を扱うので県庁内、県民の信頼を得られるようにしたい」。さらに「一人の職員として女性が働きやすい環境整備にも協力できれば」と意気込む。
宮崎市出身の58歳。熊本大卒業後、1978(昭和53)年に入庁し、地域生活部男女共同参画監、こども家庭課長などを歴任。広報広聴課時代は子どもを寝かしつけた後に自宅で深夜まで広報紙を手書きし、生活保護のケースワーカーになれば一念発起で車の免許を取得した。
「子どもが熱を出して保育園に迎えに行かなければと分かっていても職場に迷惑を掛けると思ったり、夜中の仕事で涙がこぼれたり。でも、仕事、子育てとも前向きにやってきた」。周囲の評は「気配りができ、職員、母としての経験を生かすことができる、しなやかで強い人」だ。
元県職員の夫(62)と同市内に2人暮らしで、孫が2人。花が好きで「人として、女性としての感受性は大切にしたい」。
(報道部・伊佐賢太郎)