19年ぶりに県警に戻り、警察職員約2300人のトップに就いた。「力を合わせ、全力を尽くしたい。少しでも宮崎に恩返しできれば」と、柔和な表情に決意をにじませる。
静かな語り口で、飾らない人柄だ。神奈川県出身で、実家は鮮魚店。企業による水質汚染、公害をなくしたいと思うようになり、東京大教養学部で環境問題などを学んだ。取り締まる側になるため1994年、警察庁に入庁。「『悪いやつを捕まえる』『困った人を助ける』という思いが原点」と力を込める。
2000年8月~02年1月に宮崎県警捜査二課長に着任。選挙違反や、贈収賄事件などを取り仕切る多忙な日々を送った。「さまざまな事件を経験し、宮崎で鍛えていただいたことがすべての礎になっている」。その後、警視庁組織犯罪対策第四課長や、大阪府警本部警備部長などの重責を担ってきた。
信条は「一つ一つの仕事に誠実に向き合う」。職員には、県民のために尽くすという「原点」、力強く職務執行を果たす「不易」、社会変化へ適応し対処する「流行」を大事にしてほしいと呼び掛ける。
趣味は読書と旅行。最近は人気漫画「鬼滅(きめつ)の刃」(やいば)も好きで、映画も鑑賞。好きな登場人物は正義漢、煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)で、自身を犠牲にして次世代を担う主人公たちを守り抜く姿に警察官の職務を重ねた。
本県への最初の赴任時代に出会った妻、2人の子どもと一緒に宮崎市内の官舎に暮らす。「宮崎は今も自然が豊か。ぜひ子どもたちにホタルを見せてあげたい」。51歳。