第6歌集「未来のサイズ」が短歌界で最も権威ある迢空(ちょうくう)賞に決まり、お祝いの声が相次いでいる。「短歌関係者だけではなくママ友や高校の同級生など各地から…。大きな賞をもらったのだと実感した」と驚く。
軽やかな文体で多くの人が短歌に親しむきっかけをつくった第1歌集「サラダ記念日」発行から30年超。受賞作は新型コロナウイルスに揺れる日常や政治のありようなど、社会詠が多く含まれているのが特徴だ。
「自分の文体は恋愛や青春と相性がいいと思ってはいたが、この文体で社会を詠(うた)うという冒険をし、手応えを感じた歌集だった。気になること、大事にしたいと考えていること…。今の自分を丸ごと注ぎ込んだ一冊を評価してもらえてうれしい」
2016年から宮崎市で暮らし始めて初めて出版した歌集での受賞となった。「食べるのが大好きなので、食の豊かな宮崎で『冷や汁』や『日向夏』などたくさんの歌を作らせてもらった」と笑顔。「東京中心ではなく地方から日本全体を見る目をもらった」とも語り、この視点は〈「選ばれる地方」「選ばれない地方」選ばれなくても困らぬ地方〉といった収録作や歌集全体に貫かれている。「賞は花束みたいなもの。これからもしっかりやるようにと励ましをもらった気がしている」と前を見つめる。
第4歌集「プーさんの鼻」で若山牧水賞に輝くなど本県と縁が深い。同作で赤ちゃんだった息子も今は高校生。
自分のために使える時間もでき、韓国のドラマ「愛の不時着」にはまっている。「”沼”から抜け出せない」と苦笑するがとても楽しそうだ。58歳。