女性棋士の県ナンバーワンを決める宮日女流王位戦には今回が初出場。並み居る実力者を相手に勝ち星を重ね、史上最年少の11歳3カ月で栄冠を手にした。「まさかの女流王位になれてうれしいです」。表彰式のスピーチで、あどけない笑顔をはじけさせた。
根っからの負けず嫌い。女流王位決定戦三番勝負第1局に敗れ、「絶対に勝つ」と書いた紙を自室の壁に張った。後がない最終戦まで2週間。相手が得意とする右四間飛車対策を徹底して研究した。1勝1敗で迎えた第3局は一時リードを許す展開にも「最後まで諦めない」と、勝負どころで思い切りの良い攻めを繰り出し、逆転勝利につなげた。
会場に駆け付けた父三郎さん、母めぐみさんら家族の存在も大きな支えに。「『頑張って』と送り出してくれ、普段通りの力を出せた。勝てたのは家族のおかげ」と照れ笑いを浮かべる。
小学2年の時、2歳年上の兄天眞(てんま)さんと一緒に三股将棋道場(三股町)に入門。「少しずつ強い人に勝てるようになり、楽しくなった」とのめりこんだ。兄や同世代のライバルを超えたい一心で力を伸ばし、一昨年から県内で名前が知られる存在になった。
目標の棋士は藤井聡太二冠と都城市出身で本県女流プロ第1号の山口絵美菜さん。「来年は誰が挑戦者でも負けない」と新女流王位の自覚を口にする。
体を動かすことが好きで特技は三点倒立。学業や将棋研究の合間に「呪術廻戦(じゅじゅつかいせん)」「はたらく細胞!!」などのアニメ観賞で息抜きする。都城市・南小6年。