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県弁護士会会長に就任した 谷口渉(たにぐち・わたる)さん

2021年4月30日
 県内の弁護士138人を率いる大役に就き、真っ先に口にしたのがコロナ禍で苦しむ人たちへのサポートだ。企業の資金繰り悪化や自己破産が増える可能性を見据え、「法律相談や法的サービスをしっかり提供できる態勢づくりに取り組みたい」と力を込める。

 回り道の末に弁護士になった。宮崎市出身で、京都大工学部に進学。電子工学を学び、「向いていない」と見切りを付けた。「モノと向き合う研究より、人と関わる仕事をしたい」。卒業目前の4年時に退学、京都市でバーテンダーを始めた。しかし、バーの経営悪化で勤めて3年で職を失った。この経験から、「何でもできる強い資格を取ろう」と司法試験に挑み始めた。予備校に通い、30歳で臨んだ4回目の試験で合格。2004年に県弁護士会に登録した。

 刑事事件や企業間トラブル、離婚などの問題を主に取り扱ってきた。印象に残るのは、ゴルフ場で暴力団員が身分を明かさずプレーしたとして詐欺罪に問われた裁判。国選弁護人となり、14年3月に最高裁で逆転無罪判決を勝ち取った。「弁護士の役割は被告の立場に関わらず権利を守ること」と信念は固い。日頃から頼られる弁護士会を目指し、重視するのがトラブルの未然防止。このため法律を身近に感じてもらおうと中学、高校への法教育出前授業に意欲を見せ、「将来の法曹を広げることにつながれば」と次世代育成も視野に入れる。

 10年ほど前から青島太平洋マラソンに出場し、息抜きは休日の草野球。宮崎市内に妻と2人暮らし。49歳。

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