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宮崎海上保安部長に就任した 中原浩二(なかはら・こうじ)さん

2021年5月23日
 「自分や家族、同僚を大事にすること。周囲を大事にできない人は国民も守れない」。宮崎海上保安部のトップに就き、自らの経験から、最大限のパフォーマンスを発揮する上での心構えを職員に訓示した。

 えびの市に隣接する鹿児島県湧水町出身。子どものころは医者を夢見たこともあったが、「人を助ける部分では共通する」と広島県呉市の海上保安大学校へ進んだ。

 初任地は京都府舞鶴市の海上保安学校。初の航海で神戸港入りした翌日、阪神大震災に見舞われる。昼夜を通して炊き出しや物資の積み込みなどに従事し、1カ月現場にとどまった。2016年の熊本地震発生後には八代港に向かい、被災者へ風呂や飲料水、電源などを提供し続けた。

 2度の大災害対応の経験から、南海トラフ巨大地震対策を重要課題に掲げる。日向灘から種子島沖合まで管轄海域は約2万平方キロ。「行政や警察など関係機関との連携が鍵を握る。地域とのつながりを大事に、県民のニーズに応えたい」と力を込める。

 前任地の鹿児島海保では巡視船の航海長として尖閣諸島の領海警備に当たり、緊迫した日々を送った。異動内示の約1カ月後、がんで闘病中の父・末志さんが逝去。「(海保部長への就任を)首を縦に振って喜んでくれた。最後にいい知らせができた」

 車やバイク、釣りなど多趣味。宮崎勤務は初で「食も景色もレベルが高い。地域を散策するのが楽しみ」。家族は妻と1男2女。昨年、海上保安官の道に進んだ長男の話題になると表情が緩む。日南市に単身赴任。二等海上保安監。50歳。

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