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宮崎海上保安部長に就任した 安尾博志(やすお・ひろし)さん

2014年4月23日
 「小さな変化に対し常に新しい視点を。コミュニケーションを図り仕事は楽しく」-。海岸線約400キロ、海域面積約2万平方キロの治安を守る組織のトップとして、約70人の部下に訓示。「事が起こる前に対処する能力」を大切にする。

 取り組むべき課題を次々と挙げる。船舶の安全確保はもちろん、釣りやサーフィンなどマリンレジャーに対する事故防止呼び掛け、伊勢エビなどの密漁対策…。中でも近い将来に懸念される南海トラフ巨大地震による津波対策を重視する。

 2011年の東日本大震災発生時は、石垣海上保安部で巡視船「はてるま」の航海長として尖閣諸島周辺の領海警備に忙殺されていた。「尖閣は重要任務だが震災も気になった」。未曽有の災害現場で救助・捜索できないもどかしさも感じた。

 津波対策は「人命確保が第一」ときっぱり。一般市民の防災意識の高まりを好機ととらえ「それぞれの場所で対策は変わってくる。関係機関と連携を深め啓発していきたい」と力を込める。

 東京で生まれ、父親の転勤で埼玉、福岡、岡山と移り住んだ。「船に乗りたい。人助けのイメージもあった」と海上保安大学校(広島県呉市)を1987(昭和62)年に卒業。石垣時代、頻繁に尖閣周辺に現れる中国公船を相手に、巡視船指揮官として重要な判断を迫られる日々も経験した。

 巡視船で以前にも油津港に入港した経験があり「宮崎は懐かしいイメージ」と柔和な笑顔をみせた。東京の自宅に妻と娘2人を残し単身赴任。50歳。二等海上保安監。

 
(日南支社・斉藤真広)

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