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第11回みやにち夢ひろがる小品展で通常部門の大賞を受賞した 高坂眞弓(たかさか・まゆみ)さん

2021年6月12日
 公募展に挑戦を始めて約5年。佳作、努力賞が続いた「みやにち夢ひろがる小品展」で、ついに最高賞を射止めた。「自分には飛び抜けた発想力や独創性はない。うれしいけど、まったくの想定外」。恩師や友人から次々と祝福の声が届き、少しずつ実感がわいている。

 受賞作のアクリル「生(せい)」(6号)の題材は、自宅の庭に転がるヒガンバナの球根。一昨年亡くなった義母が育てていたもので、きれいな花を咲かせる前の、たった5センチほどの存在に、生命の息吹を感じた。

 「人の顔にも見え造形が面白い。循環する自然の力のような、秘めたエネルギーを描きたかった」。光に向かって伸びる球根を紫がかった色調で彩った画面は、見事に審査員の心も引きつけた。

 高鍋町出身。高鍋高美術部で絵画と出合い、宮日美展無鑑査の画家石井秀隣さんに基礎を学んだ。中学校美術教諭として仕事に没頭するあまり創作から離れていたが、2016年に退職したのを機に「中途半端で止まっていた絵を突き詰めたい」と35年のブランクを経て絵筆を握った。県外で絵を描き続けている美術部時代の友人2人から刺激を受け、自分なりの表現を模索する日々。「創作は自分と向き合うこと。60歳をすぎてもまだ”自分探し”をしている」と明るく笑う。

 好きな言葉は、教え子にも説いた「志ある者は事竟(ことつい)になる」。画家の遠藤彰子さん、俳優の故樹木希林さんら「年齢に関係なく何かを追求する人に憧れる」と話す。同町に夫、長男と3人で暮らす。65歳。

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