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宮崎地方気象台長に就任した 宮田 浩(みやた・ひろし)さん

2021年6月20日
 「気象庁の防災、気象情報は活用してもらうことで初めて価値を持つ。県民の命を守るための情報を届けていく」。九州で甚大な被害をもたらした災害を幾度も経験する中で積極的な情報発信の重要性を改めて痛感し、住民の防災意識を高める「ソフト対策」を最大の使命と捉える。

 宮崎地方気象台に4月、初めて赴任した。熊本大理学部を卒業し1984(昭和59)年、気象庁入り。入庁以来、九州・山口管内を渡り歩いた。今年で30年の節目を迎えた長崎県の雲仙・普賢岳の大火砕流の発生時は、雲仙岳測候所に勤務していた。空を覆う噴煙と集落を襲った火砕流や火山灰、土石流…。「適切な避難情報を発信して、行政や住民に避難を促さなければならない」。多くの人命が失われた災害の脅威を間近で感じたことが、防災を何よりも重視する原点となった。

 2011年の霧島連山・新燃岳噴火では人員配置や観測機器整備など後方支援を担い、15年の鹿児島県口永良部島・新岳噴火では観測などの陣頭指揮を執った。「噴火は予測が難しい」だけに、霧島連山の活動状況も常に注視している。

 近年、大雨は激甚化・頻発化、南海トラフ巨大地震発生の懸念もある。「自治体の防災担当者向けのワークショップや学校への出前講座なども考えていく。地域と一緒に防災力を高めたい」と力を込める。

 趣味は旅行や音楽、映画。「宮崎の海と夜空の美しさがお気に入り。県内各地に足を伸ばしたい」。熊本市出身で、宮崎市の官舎に単身赴任中。59歳。

【写真】宮崎地方気象台長になった宮田さん

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