「思ってもみなかったので、めっちゃびっくりです」。全日本中学生水の作文コンクールで、最優秀賞の内閣総理大臣賞に輝き、素直に喜びを表現する。
延岡市・恒富中の3年生。家は和牛繁殖農家で、現在は母牛5頭、子牛5頭を飼育。自身も牛飼いになるのが夢だ。作文ではその夢や、地下水をろ過した水を家族も牛も飲んでいることなどを織り交ぜながら、水の大切さを訴えた。
作文を書くに当たり、世界の水問題を調べた。約7億人の人々が、生きていくために必要最低限の量の水すら手に入らず苦しんでいることを知った。「日本は水がきれいで豊かだけど、外国では当たり前じゃない。その現実を受け止め、水を無駄にしてはいけない」。節水や生活排水を減らすことなど、地道に取り組むつもりだ。
「愛情をかけたほど人間に懐くし、大きくなる。目がくるっとしていてかわいい」。幼い頃から牛の世話を手伝い、小学生の頃には牛飼いになることを決めた。牛の話を始めると止まらず、趣味はインターネットで競りの結果を調べ、記録すること。学校が休みの日は競りにも頻繁に足を運んでいたが、「新型コロナウイルスの影響で、出品しない時には会場に入れないんです」と嘆く。
昼休みに友達としゃべって過ごすのも楽しみ。「牛の話をしたら、みんな付いてこられないから、学校ではあまり話しません」と笑う。祖父母、両親、兄、妹と7人暮らし。今回の受賞を一番喜んでくれたのは、「超えるのが目標」という祖父の健次さん(71)。15歳。