学校近くの大淀川で練習してきた選手たちが、9大会ぶり2度目の「学校日本一」に輝いた。今も同じ場所で指導する前任校の宮崎大宮高と合わせ、五つの優勝を含む16種目入賞。ジュニア競技者のいなかった本県を「カヌー王国」に導いた第一人者は「チーム宮崎で取り組んできたことが実った。多くの協力者のおかげ」と笑う。
福岡県久留米市出身。野球少年だったが中学の担任らに勧められ、高校からカヌーを始めた。「水面から非日常的な景色や感覚を得られた」と没頭。日体大3年の日本選手権ではペアで表彰台に上がった。九州で唯一、部活動がなかった本県で競技普及に貢献しようと、卒業直後に移り住んだ。
中学校などを経て宮崎大宮高に赴任し、2006年にカヌー部を創部。全国規格の艇がなく県外まで生徒を連れていったことも。「苦しい練習を乗り越えてつかむ喜びを知ってほしい」との思いで、宮崎商業高の阿部祥子監督(現宮崎大宮高)らと連携し、合同練習で切磋琢磨(せっさたくま)させてきた。08年に教え子が初めて全国総体を制し、以降は毎年、国体も含め入賞者を輩出している。
宮崎に来て24年。OB、OGが大会運営を手伝い、その親が今も練習に役立てるために動画を撮影するなど、周囲に支えられてきた。「五輪代表や日の丸を背負う選手を育てたい。いろんな方面からの支え、つながりをさらに広げていければ」。「趣味はカヌー」と語り、部活動のない日も自然と大淀川に足が向き、教え子が指導するジュニアクラブを見守る。保健体育教師。宮崎市で5人暮らし。47歳。