400年続く日本の伝統文化のともしびを絶やしてはならない―。その強い思いで県内の日本舞踊家をまとめる。自身は三味線奏者。作詞作曲した地域音頭を踊るくらいで、日本舞踊の舞い手ではない。「第三者だからこそ、流派や年代関係なく、会の発展に向けた言動ができる」と自負する。
2006年に日南市文化芸術協会会長に就任して以降、日本舞踊に接する機会が増えた。あでやかな着物を身にまとい、背筋を伸ばして滑らかに弧を描く動作など所作の美しさはもちろん、心の内まで表現できるのが魅力だ。
県内では千人以上の舞い手がいるとされるが、家元制度などが壁となり、全体をまとめる団体が存在せず「国文祭・芸文祭みやざき2020」では日本舞踊大会が開催できなかった経緯がある。舞い手の高齢化も進み、若い世代が少なくなる中、日本舞踊の発展を望む関係者の熱意に押されて会長就任を引き受けた。
まずは魅力を知ってもらうために小中学校や高校で出前講座をする考え。技術講習会を開いて、若い世代への技術継承にも力を入れる。社中ごとにしていた発表会も、まとまれば大規模な場を持つことも可能だ。台湾など海外の日本舞踊協会と連携することも検討しており「多様な価値観の下、県内の舞い手がたくさん交流できる機会を設けたい」と意気込む。
趣味は読書。人物史が好きで、尊敬する人物は同市出身の外交官・小村寿太郎。小村のように「誠」に生きることをモットーに過ごす。同市在住、71歳。